2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子設計に基づく化学発光の機能化による分子認識およびセンシング
Project/Area Number |
19550137
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本吉谷 二郎 Shinshu University, 繊維学部, 准教授 (60126711)
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Keywords | 化学発光 / フタルヒドラジド / センシング / 蛍光剤 / ジスチリルベンゼン / クラウンエーテル |
Research Abstract |
化学発光を利用した分子や金属イオンのセンシングを目的とし、種々の有機分子を設計、合成し、これらについてセンシングの可能性を検討した。はじめに、強い蛍光を有するジスチリルベンゼンに電子供与性置換基を導入し、有機ハロゲンおよびニトロ化合物存在下での蛍光挙動を調べたところ、これらの存在によって効果的に蛍光消光されることが明らかとなった。蛍光消光の程度は、消光剤の還元電位と相関が見られたことから電子移動消光によることが明らかとなった。 一方、金属イオンセンシングを目的としてクラウンエーテル置換基を導入したジスチリルベンゼン骨格を有するフタルヒドラジド誘導体の化学発光について詳しく検討した。このフタルヒドラジド誘導体は、塩基性条件下で酸素酸化することにより化学発光を示した。過剰のカリウムイオン存在下で酸化すると、発光スペクトルは短波長側に大きくシフトすることが判明した。このことにより、カリウムイオンの存在がその発光スペクトルに変化を与えたことになる。さらに、長鎖アルキルアミノ基を有するフタルヒドラジド誘導体について種々の化学的環境における化学発光について調べた。界面活性剤を含む水溶液中ではアルブミンの存在によって発光強度が変化することが明らかとなったことからタンパク質などの検出への応用の可能性が示された。 金属イオンのセンシングにおいて、より大きな効果を期待し、アザクラウン置換基を有するベンジリデンアクリダンについて種々の金属イオン存在下での化学発光を調べた。マグネシウム、カルシウムなどの2価の金属イオンの存在によって化学発光強度が大きく増大することが判明した。これはこれらの金属イオンの存在によって発光種の蛍光寿命が長くなることに起因することが明らかとなっている。 以上のように、本年度の研究によって化学発光センシング法の確立の手掛かりが得られたと言える。
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Research Products
(5 results)