2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子設計に基づく化学発光の機能化による分子認識およびセンシング
Project/Area Number |
19550137
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本吉谷 二郎 Shinshu University, 繊維学部, 教授 (60126711)
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Keywords | 化学発光 / 過シュウ酸エステル化学発光 / 配位子 / 分子認識 / CIEEL / センシング |
Research Abstract |
これまで継続してきた過シュウ酸エステル化学発光のメカニズムの研究において、含窒素化合物などの電子供与性物質を添加すると発光が消光されることを明らかにしている。今年度は、様々な配位子を合成し、その化学発光消光について詳細に検討した結果、配位子の酸化電位と化学発光消光との関係が明らかとなり、電子移動が関与していることを論理的に裏付けることができた。したがって過シュウ酸エステル化学発光では電子移動を含むCIEEL機構が関与していることを強力に支持する結果を得たことになり、学術的意義は高い。また、様々な構造を有する含窒素配位子やアザクラウンエーテル等、金属イオンキレート能を有する様々な化合物が適用できることがわかった。一方、これら配位子にフィットする金属イオンを添加することにより選択的に化学発光を回復させることができた。さらに広範囲の蛍光剤をこの系に利用できることも明らかとなったことで、フォトン検出器の特性に合わせての応用が可能となる。これらの配位子と金属イオンの組み合わせにより配位子の電子放出能を制御し、発光を回復させることができることも明らかとなった。したがってこのCIEELスウィッチングを利用した化学発光による広範な分子センシングの可能性を示すことができた。また、フタルヒドラジドおよびアクリダンの系においても、ジピコリル部位やアザクラウン部位などの金属イオンキレート能を有する部位を導入することにより、金属イオンの種類に応じて選択的に化学発光強度が制御されることを明らかとした。 以上の結果により、様々な化学発光系において、分子設計に基づく機能化により金属イオンの存在を化学発光シグナルとして示すという本研究の目的は達成された。今後は感度向上やより選択性を高めることが課題である。
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Research Products
(4 results)