2008 Fiscal Year Annual Research Report
気相合成によって得られる準安定分子の基板上への配列
Project/Area Number |
19550143
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山田 康洋 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (20251407)
|
Keywords | 気相クラスターイオン / 質量分析 / 15族元素 / 薄膜 / 磁気構造 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、レーザーイオン化質量分析器を用いて、質量スペクトルを測定することによりクラスターの安定構造に関する知見をえた。ビスマス蒸気と炭化水素ガスを混合することにより炭素・ビスマスの混合クラスターをつくり、Bi_nC_<2n>^+の組成を持つクラスターイオンが安定に得られることを見出した。これらのクラスターはBi_3C_6^+を最小のものとする系列として観測され、さらにnが奇数のものが隣接する偶数のものより安定であるという‘偶奇性'がみられた。さらにこのクラスターの立体構造・電子構造を密度汎関数法により解析し安定性の原因を解明した。これらの、準安定状態のクラスターの探索と並行して、気相合成した準安定分子を、そのままの微小構造を保ったまま固相に取り出す手法について検討した。薄膜生成条件を検討する目的で鉄の蒸着を行い、磁気構造の配列についてしらべた。鉄薄膜ではメスバウアー分光法によって磁気配向に関する情報を直接得ることができる。蒸着時の原子密度と基板上でのエネルギーによって、鉄核スピンの配向方向(面内配向と鉛直配向)を制御できることが明らかとなったので、酸化鉄や炭化鉄などの鉄化合物についても同様な薄膜生成時の配向現象をしらべた。基板上への配列は、気相合成した分子自体の安定性も重要であるが、基板上での拡散や化学反応を制御することによって、配向方向や形態の制御も可能であることが示された。エネルギーを数十eV程度にした鉄原子をアルミニウム基板上に蒸着すると、アルミニウム基板の表面形状を反映した鉄薄膜を得ることができた。さらに、このアルミニウム基板に100nm程度のサイズを持った溝を作ると、その溝方向に鉄の磁気が配向し、面内一次元磁気配向をもった鉄薄膜を作ることに成功した。
|