2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己会合により高い2光子吸収特性を示すベンゾチアジアゾール2光子吸収色素の創製
Project/Area Number |
19550145
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
石井 努 Kurume National College of Technology, 生物応用化学科, 准教授 (60346856)
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Keywords | 2光子吸収 / 自己集合 / 超分子化学 / ベンゾチアジアゾール / ドナー・アクセプター |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の合成知見に基づき自己会合性2光子吸収色素の合成を発展させ、最後にそれらの自己会合特性と2光子吸収特性について検討した。 まず、会合性ベンゾチアジアゾール誘導体について、本年度は新たにスペーサー部位を変化した種々の誘導体を設計・合成した。昨年度合成したベンゾチアジアゾールのホルミル体を鍵合成中間体として、各種コレステロール誘導体との縮合反応及び還元的アミノ化反応により、カルバメート及びカルボネートスペーサー部位を有するベンゾチアジアゾール・コレステロール誘導体の合成に成功した。ゲル化会合テスト、各種スペクトル測定、及び顕微鏡観察の結果より、合成したベンゾチアジアゾール・コレステロール誘導体が自己集合会合体を形成することが判明した。特に、スペーサー部位としてエチレンカルバメート部位を有する誘導体が、最も高い自己会合能力を示した。最後に、本誘導体の2光子吸収特性を、会合条件及び非会合条件で測定した。その結果、会合条件での2光子吸収断面積は、非会合条件でのそれと比較して、2-3倍に変化した。この結果は、自己会合によりベンゾチアジアゾール2光子吸収色素部位が効果的に集積化し、2光子吸収特性が向上したことを示唆している。 本研究の成功により、高密度3次元光記録・微細加工・蛍光造影・光線力学療法等で注目されている2光子吸収の特性向上において、従来の分子レベルの合成戦略に対し、自己会合を用いる新規戦略を提供できた。
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