2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550148
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
太田 浩二 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 光技術研究部門, 研究ブループ長 (20356637)
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Keywords | 光物性 / 二光子吸収 / 非線形光学 / 計算化学 |
Research Abstract |
本年度は、次の三方向からの研究を実施した。 (1)二光子吸収断面積の理論表式間の関係の明確化 実験的に得られる二光子吸収断面積を、理論的に導くためには物理的状況に応じて適切な表式を用いる必要があるが、これまで統一した表式が用いられていない現状があった。これまで用いられてきた種々の二光子吸収断面積のための理論的表式を厳密に精査し、違いをもたらす三つの因子「二光子吸収断面積の定義の違い」「第二超分極率の定義の違い」「取扱う物理的状况の違い」の影響を明らかにすることができた。 (2)二光子吸収断面積計算に適した量子化学的な近似理論の探索 TPEB[tetrakis(phenylethynyl)benzene]のような二次元的に広がった大分子の二光子吸収特性計算への、TDDFT法の適用可能性を調べた。D-A型の双極構造を持つ分子群については、励起エネルギーを過小評価すること、また永久双極子モーメントを過大評価することなどの欠点があるが、概ね、二光子吸収スペクトルが理論計算によって再現できていることを確かめた。 (3)大きい二光子吸収特性を持つ分子群の計算化学による探索 D-A型の双極構造を持つ分子群の励起状態構造を、置換スチルベン類分子を対象として、理論計算により詳細に調べた。その結果(1)双極構造が大きく関与する基底一励起状態間の永久我極子モーメント差が重要であるような励起状態は、主にHOMO-LUMO遷移が関与する最低励起状態のみであり(2)それ以外の励起状態に関しては、通常の仮想的な中間状態を経由する三状態近似が成り立ち、双極構造はそれほど重要ではないこと、などを明らかにした。
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Research Products
(3 results)