2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550150
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森本 積 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 准教授 (10324972)
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Keywords | 二酸化炭素 / 糖類 / グルコース / 触媒反応 / カルボニル化 / 有機合成 |
Research Abstract |
本研究では、二酸化炭素や植物由来の糖類を有望な未利用炭素資源として取り上げ、それらの有用物質への新規化学変換法を開発することを目的とした。具体的には、二酸化炭素の還元体であるギ酸を一酸化炭素の代替試薬として利用する非一酸化炭素型カルボニル化法の開発に重点を置き、ギ酸の製造プロセスを模倣した還元条件下で二酸化炭素を利用した非一酸化炭素型カルボニル化法を開発する、ことを目指した。 1.今年度わ検討より、炭素一炭素三重結合と二重結合を併せ持つエンイン類とギ酸を、ロジウム触媒存在下で反応させると、環状ケトン類が得られることを見出した。この化学変換では、ギ酸はあたかも一酸化炭素のように振るまい、非一酸化炭素型環化カルボニル化が進行した。 2.上記の課題1と並行して,植物由来の糖類をカルボニル基供給源として利用する非一酸化炭素型カルボニル化法の開発も検討した。検討1で用いたエンイン類と、代表的な糖類であるグルコースとの反応を検討した。その結果、ロジウムホスフィン錯体を触媒として用いることにより、エンイン類の環化カルボニル化が進行した。すなわち、グルコースを一酸化炭素と同等に利用でき、非一酸化炭素型のカルボニル化を実施できることを明らかとした。 今年度得られた上記1および2の結果より、二酸化炭素誘導化合物を炭素資源として利用できることを実証できた。また、植物由来の炭素資源である糖類の、従来にはない合成化学的な利用方法を提供することができた。
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