2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品廃棄物の再資源化過程における魚肉中水銀の化学形態変化
Project/Area Number |
19550151
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大木 章 Kagoshima University, 工学部, 教授 (20127989)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 啓和 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (40274740)
中島 常憲 鹿児島大学, 工学部, 教務職員 (70284908)
|
Keywords | 水銀 / メチル水銀 / スペシエーション / 食品廃棄物 / 魚肉 / 再資源化 / 堆肥化 / 化学形態変化 |
Research Abstract |
本研究では、食品廃棄物の再資源化(堆肥化やメタン発酵)過程において、魚肉中に含まれる水銀の化学形態変化を追跡し、環境汚染防止の指針を得ることが目的である。本年度はまず、魚肉中の水銀の化学形態別分析法を検討した。魚肉試料をたんぱく質抽出試薬を含む水溶液によって処理して得た可溶性タンパク質中には、水銀はまったく含まれていなかった。メルカプトエタノール(ME)を含む塩酸水溶液で処理すると、ME濃度の上昇ともに水銀抽出率は上昇し、0.1%のME濃度においてほぼ100%の水銀抽出が行なえた。この場合、抽出液中にセレンは検出されなかった。MEは水銀との親和性がそれほど大きくないので、以上の結果より、魚肉中で水銀は不溶性タンパク質(おそらくセレノタンパク質)と緩い結合をしていると考えられる。また、UVクラッキングシステムを接続したHPLC-冷蒸気原子蛍光分析装置(HGAFS)を用いて、魚肉より抽出した水銀種のスペシエーション(2価の無機水銀とメチル水銀)が可能であることを明らかにした。家庭用生ゴミ処理器(堆肥製造器)を用いて擬似食品廃棄物(植物性の愛玩動物用餌)を処理した場合、7日後には動物用餌はほぼ完全に分解された。この系において、微量のメチル水銀が共存しても動物用餌の分解には影響しないが、メチル水銀は30-50%が脱メチル化し無機水銀が生成することを明らかにした。また、この場合に金属水銀の生成による気相への移行はないことを確認した。魚肉を混ぜた擬似食品廃棄物を用いて堆肥製造を行なった場合も、魚肉中に含まれるメチル水銀が脱メチル化した。この場合も、水銀種はMEの塩酸水溶液で容易に抽出できたので、魚肉中のタンパク質が分解しても、セレン化水銀のような不溶性の水銀化合物は生成していないと考えられる。
|
Research Products
(1 results)