2009 Fiscal Year Annual Research Report
カリックスアレーン被覆による水溶性半導体量子ドットを基盤とした蛍光プローグの開発
Project/Area Number |
19550157
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神 隆 Osaka University, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (80206367)
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Keywords | カリックスアレーン / 半導体量子ドット / 表面修飾 / 蛍光プローブ / 水溶化 |
Research Abstract |
研究計画最終年度では、高輝度量子ドットの生体光イメージング用プローブへの応用をおこなった。生体では、ヘモグロビンをはじめ数多くの内在性色素が存在するため、可視領域の光はこれらによる吸収のためほとんど透過しない。唯一透過性を有するのが700-1300nmの近赤外光である。この領域の光は生体表面から数センチメートルの生体深部まで到達する事が可能である。このような生体の光学特性に適した蛍光プローブとして、近赤外発光の高輝度水溶性量子ドットの開発をおこなった。CdSeTe合金系のコアを、これよりバンドギャップの大きいCdSにより被覆する事により、700-900nmで発光する高輝度量子ドット(量子収率30%以上クロロホルム中)を合成した。近赤外量子ドットをさらにカリックスアレーンあるいはグルタチオンで表面被覆することにより水溶性の量子ドットを作製した。これら近赤外量子ドットによる生体光イメージングのモデル系としてヒト乳癌移植マウスを使用した。ヒト乳癌細胞は、上皮成長因子であるHER2受容体を過剰発現しているKPL-4細胞を使用した。ヒト乳癌細胞を検出するため、水溶性近赤外量子ドットの表面に抗HER2抗体を修飾し、さらに細胞、組織への非特異的吸着を抑えるため分子量約2000のPEG(ポリエチレングリコール)を結合させた。細胞レベルでの光イメージングでは約10nMの濃度で乳癌細胞の特異的検出が可能であった。また、ヒト乳癌移植マウスでは、1uM濃度の量子ドットを100uL注入する事により5mm程度の大きさのヒト乳癌腫瘍の光イメージングが可能であった。HER2抗体修飾近赤外量子ドットによって、近赤外領域での高感度なヒト乳癌腫瘍の光イメージングが可能である事を明らかとした。
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Research Products
(5 results)