2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドピンセットによるカーボンナノチューブの直径識別システムの構築
Project/Area Number |
19550160
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小野 慎 University of Toyama, 理工学研究部(工学), 准教授 (10214181)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 直径識別 / 分子ピンセット / ペプチド |
Research Abstract |
カーボンナノチューブの電子デバイスへの応用を促進するため,ナノチューブを水に可溶化するペプチドとチューブの直径を識別するペプチド分子ピンセットを設計し,これらペプチドをナノチューブに作用させることで,ナノチューブを可溶化しつつ直径ごとに識別するシステムを構築することが目的である。平成20年度では,直径識別ペプチドピンセットの設計とそのナノチューブ分離作用の検討を計画した。19年度に設計した直鎖ペプチドをナノチューブに作用させ,直径を識別できるか否かを吸収スペクトルで観察した。その結果,設計したペプチドではナノチューブの直径方向に作用させることが困難であり,有効な直径識別が観察されなかった。そこで,ナノチューブの選別に利用されているゲルろ過カラム法とアガロースゲル電気泳動法に,本研究で設計した可溶化ペプチドを応用して,ナノチューブが直径によって選別されるか否かを検討した。可溶化ペプチドによって得られたナノチューブ分散液をゲルろ過カラムに供すると,多くのナノチューブ成分はゲルろ過材に吸着したが,一部は溶出されたため,その成分を集めて吸収スペクトル・ラマンスペクトル・走査型電子顕微鏡観察で物性を調べた。その結果,明確な直径の変化は見られなかった。アガロースゲル電気泳動法によっても同様に検討したが,やはり直径による選別は達成できなかった。しかしどちらの方法でも,可溶化ペプチドによって分散したナノチューブを部分的に選別することができることがわかり,ゲル中にナノチューブを識別する仕掛けを構築できれば,目的の選別が可能になると考えられた。現在,さらに他の分散剤との混合系による検討を継続している。
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