2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミメティックプローブによるN末端メチオニン認識機構の解明と生体防御への応用
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19550167
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
長田 聡史 Saga University, 理工学部, 助教 (50284609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 浩明 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80205418)
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Keywords | 生理活性 / ペプチド / 好中球 / フッ素化合物 / 活性酸素放出能 |
Research Abstract |
末端メチル基排除メチオニンミメティックの合成:反応不活性なチオールミメティックとして設計した化合物群のうち,昨年度に求核性フッ素導入試薬を用いた合成過程で問題のあったジフルオロメチレン基を含む誘導体について,Wittig型反応を利用した合成ルートへ変更して合成を試みた。合成経路の変更により目的のミメティックアミノ酸を収率よく得ることに成功した。また,トリフルオロメチル置換の化合物については既知化合物を応用して合成し,当初の目的であった末端メチル基を排除ミメティックを得ることに成功した。 ホルミルペプチドへの組み込みと生理活性評価:合成アミノ酸はロイシルフェニルアラニンとの液相カップリングによりBocMLPアナログとした後,ギ酸-EEDQ処理によってホルミル基を導入してfMLPアナログへと誘導した。合成したfMLP誘導体の生理活性能はチトクロームc還元法を用いたヒト好中球の活性酸素放出能ならびにマイクロチャンバーを用いた細胞遊走能によって評価した。活性酸素放出能において,チオメチル基をクロロ基に変えた場合ではほとんど活性を示さなかったのに対して,ジフルオロメチレン基を導入した場合には充分な活性を示した。さらにトリフルオロメチル基を持つ化合物においても充分な活性酸素放出能を維持していた。これらの知見から,活性酸素放出能では,チオエーテルの末端メチル基の寄与は硫黄原子の非共有電子対の方向性をもった求核的相互作用に比べると副次的なものであると示唆された。ところが,細胞遊走能の活性においてはいずれの誘導体とも活性の減弱度が著しく,末端メチル基のかかわる相互作用が細胞遊走能の活性に少なからず関与しているのではないかと考えられた。本研究の結果は,メチオニン側鎖位置での些末な構造変化で,生理活性のアウトプットを区別することが出来ること示した重要な知見と考えられる。
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