2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550168
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
清水 昭夫 Soka University, 工学部, 教授 (20235641)
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Keywords | 高圧力 / 酵素反応 / 活性 / アルコール脱水素酵素 / 基質特異性 / 反応効率 |
Research Abstract |
アルコール脱水素酵素の基質特異性が加圧する事のみで制御できるかどうかを明確にするため本年度は以下の実験を行った。具体的にはまず酵母アルコール脱水素酵素の反応速度を基質としてエタノール、プロパノール、ブタノールと変化させて、0.1MPa、50、100、150MPaの各圧力下、室温25℃で決めた。反応初速度は補酵素であるNADがNADHに変化すると340nmの吸光度が増加することをから、この340nmの吸光度の時間変化から求めた。さらに基質濃度を変化させ初速度を求めラインウイーバーバークプロットを行い、反応効率(Vmax/Km)を計算し比較した。現在、ペンタノールおよびヘキサノールに関しても測定中である。その結果、基質がエタノールの場合反応効率は50MPa付近で極大を示し、プロパノールにおいては100MPa付近で極大を示した。一方、ブタノールでは加圧と共に反応効率は上昇して行った。また、メカニズムを解析してみるとエタノールが50MPa付近で極大を示すのはKm主導型で起こっている可能性が示唆された。本研究結果より、酵母アルコール脱水素酵素に関しては基質アルコールの炭素数が増加するに従って反応効率が極大を示す圧力も増加することが明らかとなった。つまり、圧力を高くすれば炭素数が少ないアルコールより炭素数が多いアルコールの方がより効率よく反応することを明らかにすることが出来た。従って、本年度の成果は遺伝子組み換えなどしなくても加圧のみの単純な手法で酵素の基質特異性をある程度は制御できる可能性を示すことが出来たと考えられる。
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