2007 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素応答性ペプチドー金属錯体コンジュゲート創成と応用
Project/Area Number |
19550170
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
藤井 敏司 Konan University, 理工学部, 准教授 (80271518)
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Keywords | ジチオカルバメート錯体 / 鉄錯体 / 一酸化窒素 / センサータンパク質 / ヘリックスバンドル / ペプチド / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
申請者らは、環境中の酸素などをセンシングするガスセンサータンパク質が有する構造変化による情報伝達に注目し、そのモデル化及び新機能性分子の開発に取り組んでいる。これまで、従来、内因性一酸化窒素(NO)の捕捉検出試薬として用いられていた鉄ジチオカルバメート錯体を基本構造として、ジチオカルバメートの置換基にαヘリックスを形成しやすいペプチドを伸長することで、エタノール溶媒中Three-helix bundle構造を有する錯体が形成されること、また、NOの鉄への結合により構造変化が引き起こされ、bundle構造が崩壊することを明らかにしてきた。本年度は、水混合溶液系でのbundle構造の安定性及びbundleを構成するペプチド部位のヘリックス長とそれらにより形成されるbundle構造の安定性の相関について検討した。エタノール溶媒中では錯体は自発的にhelix bundle構造を形成したが、水を10%混合すると自発的なbundle構造形成は起こらず、構造形成の検出に用いたANS(8-amino-1-naphthalenesulfonicacid)を核として構造を形成することがわかった。また、当初用いていた16残基のペプチドは各αヘリックスが4ターンでbundle構造を形成するものであり、ANSを用いて測定したbundle構造の崩壊温度はエタノール溶媒中26.8℃であったのに対し、配列は同じまま12残基のペプチド、3ターンのヘリックスにすることによって崩壊温度は20.50℃となり約6度の低下が見られた。これらの結果は将来計画している細胞等生体試料に応用する際の重要な基礎的知見である。
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