2009 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素応答性ペプチド-金属錯体コンジュゲートの創成と応用
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19550170
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
藤井 敏司 Konan University, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (80271518)
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Keywords | ジチオスルバメート錯体 / 鉄錯体 / 一酸化窒素 / センサータンパク質 / ヘリックスバンドル / ペプチド / ドテッグデリバリーシステム / 蛍光物質 |
Research Abstract |
申請者らは、環境中の二原子分子をセンシングする機能をもつガスセンサータンパク質の、小分子結合に伴うタンパク質構造変化による情報伝達に着目し、そのモデル化及び新機能性分子の開発に取り組んでいる。これまで、内因性一酸化窒素(NO)の捕捉検出試薬として用いられてきた鉄-ジチオカルバメート錯体を骨格として、ジチオカルバメートの置換基にαヘリックスを形成するペプチドを伸長することで、水等の極性溶媒中でTriple Helix Bundle構造を有する錯体が形成されること、NOの結合によりbundle構造が崩壊すること、ヘリックス長を変化させることでbundle構造の崩壊温度をコントロールできること(22残基にすることで約37℃)を見いだしている。本年度は、従来のbundle構造が崩壊すると消光するタイプの蛍光試薬であるANS(8-amino-1-naphthalenesulfonic acid)の代わりに、FRETによるポジティブ検出を当初検討していた。しかし、より直接的なポジティブ検出が可能となるようペプチドの配列を変更し、bundle構造内部に極性環境下で蛍光強度が増大するフルオレセインを組み込むことを試みた。その結果、bundle構造崩壊温度に多少の変化が見られたものの、崩壊による蛍光強度の増加を観測することに成功した。現在、このポジティブ検出型錯体を用いて、生細胞からのNO放出の検出、また阻害剤をbundle内部に包埋させてドラッグデリバリーシステムとしての応用可能性を検討しているところである。
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