2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550178
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
千住 孝俊 Yokohama National University, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 特別研究教員 (70322097)
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Keywords | 電子写真感光体 / 有機半導体 / 光電導 / 構造解析 |
Research Abstract |
複写機やレーザープリンターのドラムには電子写真感光体として有機感光体が数多く用いられている。しかしながら、なぜ有機感光体が優れた電子写真特性を示すかについてはこれまで明らかになっていない。本研究では有機感光体の高い電子写真特性の発現理由を結晶構造の観点から考察することを目的とした。平成20年度においては、前年度に引き続き、多数のペリレン誘導体について結晶構造を明らかとした。結晶中で分子重なりが大きいものや、比較的小さいものなど、置換基によって様々な結晶構造が見られた。単結晶を用いた可視域の偏光反射スペクトルでは結晶構造の差異に対応したスペクトルの長波長化や短波長化が観測された。これらの光学スペクトルの挙動は大きな吸収係数を有するペリレン分子間の遷移双極子同士の相互作用(励起子相互作用)により説明することが可能であることが分かった。一方で、優れた電子写真特性を示すチタニルフタロシアニンは従来結晶構造が明らかとなっていないため、その単結晶育成を様々な方法で試みた。しかしながら、残念ながら現在までのところ電子写真特性を示すY型結晶相の単結晶育成には成功していない。Y型は示差熱分析により結晶中に水分子を含むと想定されている。このため、微少量の水を含む有機溶剤からの単結晶育成を中心に単結晶育成条件を検討したが、電子写真特性を示さないI型ならびにII型が主に得られ、Y型の単離には至っていない。今後、別種の育成条件を検討する必要がある。さらに、発光能を有するビスアゾメチン色素の特異な光学スペクトル形状の発現理由を励起スペクトルと発光スペクトルの関係から明らかとした。
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Research Products
(3 results)