2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レーザ励起超短パルスレーザを指向したネオジム添加新規バナデイト単結晶の開発
Project/Area Number |
19550188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋口 幹雄 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助授 (40198990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 智之 理化学研究所, 固体光学デバイス研究ユニット, ユニットリーダー (90261164)
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Keywords | 超短パルスレーザ / バナデイト / 浮遊帯溶融法 / 半導体レーザ励起 / ネオジムレーザ |
Research Abstract |
現在実用化されているTi:Al_2O_3によるフェムト秒オーダーの超短パルスレーザは励起源として半導体レーザ(LD)を用いることができない。LD励起超短パルスレーザの活性中心としてはYb^<3+>が第一候補として研究されてきたが、準3準位で動作するため発振が難しい。これに対しNd^<3+>は4準位で動作するため発振が容易であるが、既存のNd^<3+>ドープ結晶ではスペクトル幅が狭く、フェムト秒オーダーの超短パルス発振は不可能である。本研究では、結晶構造中に多くのサイト種を持つとともにNd^<3+>に対して比較的大きいサイトを提供できるCa_9La(VO_4)_7、Ca_3La(VO_4)_3およびLaVO_4に注目して、これらにNd^<3+>をドープした結晶の育成を試み、その分光学的性質を明らかにすることを目的とした。 今年度はNd:Ca_9La(VO_4)_7について、その単結晶の育成条件と分光学的特性を検討した。Nd:La=1:9となるように調製した原料棒を用い、溶融帯移動速度:1-5mm/h、雰囲気:N_2、AirまたはO_2として浮遊帯溶融法による結晶育成をおこなった。得られた結晶について、偏光顕微鏡観察による品質の評価をおこなうとともに吸収・発光スペクトルおよび蛍光寿命を調べた。育成雰囲気としてAirを用い、1mm/hで育成することにより、インクルージョンをほとんど含まない結晶を得ることができた。結晶周辺部には強い歪みが観察されたが、中央部は比較的良質であった。1040-1100nmにかけて非常にブロードな発光が観察された。その半値幅は約17nmであり、Ndドープバナデイト結晶のそれに比べて一桁ほど大きい。また、その蛍光寿命は約55μsと十分に長いものであった。一方、800nm帯の吸収係数も10-12cm^<-1>と十分大きくかつブロードであった。以上より、Nd:Ca_9La(VO_4)_7はLD励起による超短パルス固体レーザ材料として有望であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)