2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速分光法を用いたリチウム電池正極材料エピタキシャル薄膜の電荷交換反応測定
Project/Area Number |
19550194
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
園山 範之 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 准教授 (50272696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 了次 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90135426)
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Keywords | リチウム電池 / エピタキシャル薄膜 / 吸収スペクトル / LiMn_2O_4 / LiFePO_4 |
Research Abstract |
LiMn_2O_4のエピタキシャル薄膜をPLD法を用いて透明性に優れた絶縁体のアルミナ単結晶基板(001)面、酸化マグネシウム(111)面上に、また比較対象として透明性を持たないn型半導体であるNbをドープしたSrTiO_3(111)面上に蒸着した。薄膜用XRDにより構造解析を行った結果、合成した全ての面上においてLiMn_2O_4が111配向したエピタキシャル薄膜が得られたことが明らかになった。 n型半導体であるNbドープSrTiO_3(111)面に蒸着した薄膜は通常のバルク電極と比べ、放電電圧が低下し、4V領域に放電プラトーを示さず、3.0-3.5Vで充放電が進行した。一方、絶縁体であるアルミナ(001)基板上に蒸着した薄膜は、バルク電池と同じ電圧領域に1段階の放電プラトーを示した。以上のことより、リチウム電池材料のエピタキシャル薄膜は、基板と強く相互作用して電気化学特性が変化すること、また基板と化学結合を形成しているため、立方晶から正方晶への転移が抑制されることが明らかになった。LiMn_2O_4エピタキシャル薄膜は4V領域での充電・放電中に吸収スペクトルがほとんど変化しなかったが3V領域ではバンド間吸収の可逆な変化が見られた。これよりLiMn_2O_4は電子が非局在化しやすく、4V領域では充放電中に電子の出入りはマンガンのd軌道ではなく酸素のp軌道との間で起こっていると考えられるが、3V領域では、マンガン4価/3価の酸化還元によりリチウムが出入りしていることが明らかになった。 また、充放電における電荷移動抵抗値はエピタキシーに影響を受け、基板とのミスマッチが小さくなるに従い大きくなる傾向が見られた。また、ラマンスペクトルにおけるマンガン-酸素伸縮振動値も基板とのミスマッチが小さいほどバルクLiMn_2O_4の値から遠ざかり、エピタキシーが高い系ほど基板による薄膜物性への影響が高いことが示された。
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Research Products
(5 results)