2009 Fiscal Year Annual Research Report
弾性率の電気制御により空気中で駆動する高伸縮性高分子アクチュエータ材料の開発
Project/Area Number |
19550203
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
奥崎 秀典 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (60273033)
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Keywords | 導電性高分子 / ポリピロール / PEDOT / PSS / アクチュエータ / 電気収縮 / 吸脱着 / 人工筋肉 / 弾性率 |
Research Abstract |
PEDOT/PSS 3wt%溶液に数種類の濃度のエチレングリコール(EG)を添加した混合溶液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にバーコートした。EG未添加でのシート抵抗は1877ohm/□であったが、EG濃度15wt%のときに最もシート抵抗が小さくなり32ohm/□となったことから、EGの最適濃度を15wt%とした。作製した複合基板のPEDOT/PSS膜厚はおよそ4μm、シート抵抗は8.7ohm/□であった。レーザマーカ(ML-Z9500、キーエンス)にて複合基板から有効長さ10mm、幅1mmの複合素子にカットし、マグネトロンスパッタ(MSP-1S、真空デバイス)を用いてPET裏面と複合素子の先端にAuをスパッタしてPEDOT/PSSへ電流が流れるようなアクチュエータ構造を作製した。直流安定化電源で電圧を印加し、その際の屈曲挙動をレーザ変位計で読み取ることのできる評価装置を作製し、恒温恒湿槽(KCL-2000、東京理化器械)内を25℃、50%RHに制御して変位量の測定を行った。 1Vの電圧印加と同時に約5mAの電流が流れ、複合素子はPEDOT/PSS側に屈曲した。これはPEDOT/PSSに電流が流れ、ジュール加熱によって吸着していた水分子が脱着し、PEDOT/PSSが収縮したことに起因すると考えられる。2Vで約1.5mm、4V印加時には3mm以上の素子先端の屈曲変位を確認した。PEDOT/PSSをPETやポリイミド等のプラスチック基板に塗布しているため、(1)印刷法による素子の大量生産が可能であり低コスト化が期待できる、(2)基板がPEDOT/PSSを補強するため、アクチュエータ素子は優れた強度を有する等のメリットがある。
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