2007 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロスピニング法により作製したポリジオキサノンナノファイバーの微細構造解析
Project/Area Number |
19550207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 正樹 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (60172003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 豊 群馬大学, 工学部, 教授 (10303934)
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Keywords | ポリジオキサノン / エレクトロスピンニイング / ナノファイバー / ポリエステル / 電子顕微鏡 / 電子回折 / シシカバブ構造 / ポリヘプタメチレンテレフタレート |
Research Abstract |
脂肪族ポリエステルであるポリジオキサノン(PPDX)繊維は、他の生分解性ポリエステル繊維に比べ、優れた柔軟性・生体適合性と適度な分解速度を有し、主に吸収性手術縫合糸として世界中で使用されている。本研究の目的は、エレクトロスピニング(ES)法で作製したPPDXナノファイバーに対する、物性・生分解速度の制御に直結し得る内部微細構造の解明にある。 本年度は、透過型電子顕微鏡(TEM)用の試料として適切な繊維直径(50nm以下)のナノファイバーを得るために、ES法での紡糸条件、後処理(延伸、熱処理など)条件の検討に主眼を置いた。比較のため、種々の芳香族ポリエステル、シルクフィブロイン、羽毛ケラチンからも、ES法でナノファイバー作製を試みた。 1.自作の「平行コレクター」に収集したPPDXナノファイバーをそれに載せたままで延伸や熱処理し、結晶化を促進した(後処理による結晶化促進は、全てのポリマーで生じた)。2倍延伸、80℃で17hrの熱処理によって、第3層線まで認められる繊維図形を制限視野電子回折で得た。赤道反射(210と020)による暗視野TEM像には、繊維軸に垂直に走る「明るい筋(即ちラメラ晶)」が明瞭に認められ、更にシシカバブ構造を示唆する積層ラメラ構造も確認した(Sen'i Gakkaishi, 63, 230(2007))。 2.芳香族ポリエステル(PBT、PEN、PETと、我々で合成したポリヘプタメチレンテレフタレート(PHepT))ナノファイバーでも、結晶化を促進させる紡糸条件や後処理条件を検討した。PBT、PEN、PETについては結果の一部を論文発表した(Sen'i Gakkaishi, 64, 32(2008))。PHepTについては、国際結晶学連合会議(IUCr2008;大阪;2008/8/23-31)で発表予定。 3.羽毛ケラチンのナノファイバーを作製し、結晶性について考察した。この結果とPBT、PEN、PETについての最近の結果とは繊維学会年会(東京;2008/6/18-20)で発表予定。 4.以上、溶液型ES法で作製した各ポリマーナノファイバーのモルフォロジーは観察できたが、全ポリマーで繊維直径分布が大きく、平均繊維直径を50nm以下とするのは困難だった。溶融型ES用の装置作製にも取り掛かり、高電圧供給装置の購入、加熱装置などへの工夫を行ったが、まだ成果は出ていない。
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[Presentation] Structure for e-spun silk fibroin nanofibers2007
Author(s)
Yutaka Kawahara, N. Matsumura, A. Nakayama, M. Tsuji
Organizer
Int. Symp. Organized by Inst. Chem. Res., Kyoto Univ. (ICRIS'07; 2007/6/11-13; Proceedings, pp.137-138))
Place of Presentation
Kyoto (Shiran Kaikan of Kyoto University)
Year and Date
2007-06-12
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