2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550211
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
池原 飛之 Kanagawa University, 工学部, 教授 (90242015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 利介 神奈川大学, 工学部, 特別助手 (20514425)
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Keywords | 相互侵入球晶 / 高分子ブレンド / ブロック共重合体 / 小角X線散乱 / ラメラ構造 / 結晶化 / アントラセン二量体 / 局所的組成 |
Research Abstract |
(1)昨年度行った高分子ブレンド系における融液中の球晶成長速度の解析結果から、結晶化する成分のガラス転移温度(Tg)よりも低いTgを持つ成分をブレンドした場合と、高いTgを持っ成分をブレンドした場合では、ラメラ晶表面自由エネルギーのブレンド組成依存性が逆になるという結果を得た。表面自由エネルギーの組成依存性とTgには直接的な相関関係が希薄であるため、本年度では新たに成長面で局所的に組成が変化するというモデルを仮定して解析を行った。その結果、結晶成分より高いTgをブレンドした場合には結晶格子から排除された分子の運動性が低いため、成長面付近に留まり局所的に定常的な組成変化が起こっているという結果を得た。(2)2種類の結晶成分からなる結晶性/結晶性ブロック共重合体の小角X線散乱(SAXS)によるラメラ構造の解析を行った。昨年度までは十分な散乱データを得ることができなかったが、本年度において試料作成条件再検討して実験を行った。その結果、低融点成分は高融点成分のラメラ間に留まるが、ブレンド系では両成分が化学結合していないため、ラメラスタック外に拡散していくことが実験的に示された。(3)アントラセン二量体を結晶性/結晶性ブロック共重合体のブロック間に導入することで、光によりプロック間結合を切断可能なブロック共重合体を作製した。高融点成分のみを結晶化させ、その後光照射によりブロック間結合を切断することにより、ラメラ間のみに低融点成分が存在するブレンド系を実現することができた。この状態で低融点成分を結晶化させ、切断前との結晶化速度の比較から、ブロック間結合が分子輸送の活性化エネルギーに与える影響を定量的に見積もることができた。(4)本年度得られた知見は、前年度までのものと併せて論文を準備中で、完成次第すみやかに投稿する予定である。
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