2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ポンピングによるゼロバイアス伝導特性の理論解明とその応用
Project/Area Number |
19560001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
矢久保 考介 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (40200480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 恒義 北海道大学, (財)豊田中央研究所, フェロー (80002236)
島 弘幸 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40312392)
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Keywords | 量子ポンピング / スピン流 / スピントロニクス / 光支援トンネリング / 転送行列方 / 非断熱プロセス |
Research Abstract |
本研究では、量子ポンピングに伴う効率的な純粋スピン流(低ノイズの大スピン流)を得るための条件を明らかにし、これを実現するシステムを理論的にデザインすることを目的としている。また、量子ポンピングに対する断熱理論の適用限界、すなわち開放系における断熱条件を明らかにし、断熱的量子ポンピングと非断熱ポンピングの質的な差異を明確にする。これまでの研究では、光支援トンネリングの研究において我々が開発したFloquet散乱を取り入れた転送行列法を拡張することで、エネルギー非保存系に対する転送行列法を拡張した。また、2次元電子系における量子ポンピングによる電流パターンの計算も行った。本年度は、垂直磁場が印加された2次元電子系において軌道波動関数のランダウ量子化とスピンに対する異常ゼーマン効果の両方を考慮し、純粋スピン流の大きさと系の不純物散乱との関係を調べた。その結果、各ランダウバンドにおいて、フェルミ面上の電子の局在長が系のサイズと一致する際に純粋スピン流が最大となることが明らかになった。このことは、フェルミエネルギーがランダウバンド中心から僅かにずれた所に位置するように外部磁場を調整することで、効率的なスピンポンピングが実現されることを意味している。また本年度の研究では、何故このような条件の下で最大スピン流が得られるのかに対する物理的理由も明らかにした。さらに、前年度までの研究で得られた電流パターンの計算方をこの系に適用することで、純粋スピン流が実際に系を流れる経路と不純物散乱との関係を視覚的にも明らかにした。
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Research Products
(35 results)