2007 Fiscal Year Annual Research Report
新超伝導物質探索研究の新展開:インターカレーション・デインターカレーション法
Project/Area Number |
19560004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雅恒 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (50211850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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Keywords | 層状ペロブスカイト / リチウム / インターカレーション / 超伝導 / 強誘電体 / 電気化学 |
Research Abstract |
Aurivillius型の層状ペロブスカイトBi_2MO_6(M=Mo, W), Bi_2W_2O_9, Bi_2BaNb_2O_9, Bi_2SrNaNb_3O_<12>,Bi_4Ti_3O_<12>, Bi_2La_2Ti_3O_<12>に対して、Liインターカレーション法を用いて電子キャリアをドープすることにより超伝導化を試みた。まず、これらの多結晶試料を固相反応法により作製した。次にこれらの母体試料に対して電気化学的手法を用いて定電流を印加し、Liインターカレーションを試みた。試料をNiメッシュではさんだものを作用電極とし、対向電極、参照電極にはLi箔を用いた。また、電解液にはLiClO_4/PCを用いた。実験はすべてアルゴン雰囲気下のグローブボックス中でおこなった。試料の電圧の時間依存性を測定したところ、すべての試料において、約1-1.5V(vs. Li/Li^+)でプラトーが観測された。また、試料は白色から黒色に変わった。これらの振る舞いは、Liインターカレーションに成功したことを示唆する。しかし、直流磁化率測定の結果からは、2K以上では超伝導転移は観測できなかった。これら母結晶はいずれも強誘電体であり、格子歪のためドープされた電子キャリアはポーラロンを形成し、局在しているためと推測した。強誘電性を有することは電子-格子相互作用が大きいことを意味するので、キャリアドープにより金属化することは容易ではないが、一旦金属化すると高い温度で超伝導転移することが期待される。そこで、今後は、強誘電性を抑制するにはさらなる電子キャリアのドープが必要と考え、Li^+の代わりにMg^<2+>をインターカレートすることを試みる。
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