2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁性積層膜の界面における磁気構造とスピン動力学に関する理論研究
Project/Area Number |
19560006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 昭正 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (30361124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土浦 宏紀 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30374961)
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Keywords | 電子状態 / 磁気構造 / 磁性人工格子 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
1、巨大磁気抵抗(GMR)やトンネル磁気抵抗(TMR)素子の強磁性(FM)/非磁性(NM)あるいは強磁性(FM)/反強磁性(AF)界面における電子状態と磁気構造を明らかにする目的で、磁気モーメントのノンコリニア配列とスピン軌道相互作用の両者を効果を考慮した電子状態計算プログラムを作成した。本手法により、任意の磁気構造の予測とその安定性、および結晶磁気異方性エネルギーなどの評価が可能となった。具体的な計算例を以下に示す。(1)Mn_3Ptの低温と高温における磁気構造(それぞれD相およびF相とよばれる)に関する検討を行い、これまで不明であったF層の磁気構造についての提案を行った。さらにこの物質に強磁性体を接合させた場合の界面の磁気構造の評価を行い、FM/AF結合による交換バイアスの起源に関する検討を行った。(2)永久磁石材として知られるNd_2Fe_14Bとbcc-Feを接合させた場合、接合面によっては両層の磁化が反平行配列する可能性があることを示した。本研究は交換スプリング磁石の磁気特性を微視的立揚から評価した初めての例である。(3)TMR素子において期待されるホイスラー合金Co_2MnSiとMgOの界面における電子状態と磁気構造およびその安定性(交換相互作用強度)を評価した。Co_2MnSiのCo面がMgOと接する場合、Coの磁気モーメントが揺らぎやすくなることを示し、有限温度でTMR比が著しく低下する原因を考察した。 2、上記の磁性体の電子状態の計算手法(第一原理計算)のもとで、電気伝導度を計算するプログラムを作成し、Fe-Ni合金の電気抵抗の組成比依存性を評価した。結果は測定結果をよく再現し、手法の妥当性を確認することが出来た。今後、本手法を拡張し、GMRやTMR素子の磁気抵抗変化率の定量評価を行っていく予定。
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