2008 Fiscal Year Annual Research Report
室温強磁性カルコパイライトエピタキシーと薄膜物性評価
Project/Area Number |
19560012
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
内富 直隆 Nagaoka University of Technology, 工学部, 准教授 (20313562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 有行 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (10303190)
神保 良夫 長岡技術科学大学, 工学部, 技術職員 (10134975)
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Keywords | 結晶工学 / 結晶成長 / 界面・界面物性 / 半導体 |
Research Abstract |
室温強磁性を発現する可能性のある半導体薄膜としてII-IV-V_2半導体であるMnドープZnSnAs_2に着目して、分子線エピタキシー(MBE)による結晶成長条件とその電気的・磁気的性質について研究を行った。ZnSnAs_2膜がInP基板に格子整合することが第2相の発生を抑制し、この薄膜が室温で強磁性を示すことが観測された。(ここでは、格子整合系室温強磁性半導体と呼んでいる) MnドープZnSnAs_2薄膜の強磁性発現のメカニズムについて理解するために、アンドープのZnSnAs_2薄膜の性質について調べる必要があり、再度ZnSnAs_2薄膜の結晶成長の実験を行った。ZnSnAs_2薄膜はp型伝導性を示し、その伝導特性の温度依存性を調べた。その結果、価電子帯から近いところにアクセプタ準位の存在が明らかになった。(このような特徴はZnSnAs_2バルク結晶の挙動と概ね一致する結果である)Mnドープの実験では、2から7%の範囲でドープ量を変えてZnSnAs_2薄膜の結晶成長を行った。その結果、Mnドープ量を増加させると抵抗率の増大が見られるが、強磁性の傾向が現れることがわかった。この実験からは、高抵抗のために通常磁性半導体で観測される異常ホール効果については観測することができなかった。このような特徴はZnSnAs_2のアクセプタ不純物バンドが磁気特性に影響を及ぼしていると推察されるが今後の検討課題である。 ZnSnAs_2はこれまでの実験結果から室温で強磁性を示す半導体であることが明らかになりつつあるが、Mn不純物がZnサイトとSnサイトのどちらに置換しているかについては、まだ明らかになっていない。ZnSnAs_2はナローバンドギャップ半導体であるにもかかわらず室温で強磁性を示す材料であり、これまでの化学トレンドから外れる傾向にある。20年度の研究結果に基づいて、21年度には蛍光X線ホログラフィーを用いた局所構造解析によりMnの置換サイトに関する共同研究を行う予定である。このような実験から、強磁性発現のメカニズムの解明につなげたいと考えている。
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Research Products
(11 results)