2008 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性絶縁体・ハーフメタルを用いた高スピン偏極電流生成デバイスの理論的研究
Project/Area Number |
19560013
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
伊藤 博介 Kansai University, システム理工学部, 准教授 (00293671)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 計算物理 / 磁性 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
1. フェリ磁性絶縁体Fe_2O_3(マグヘマイト):160個の原子を単位胞に含むFe_2O_3に対して第一原理バンド計算(GGA+U)を行った。基底状態としてフェリ磁性絶縁状態が得られ,そのバンド・ギャップの大きさはconductive AFMの実験と矛盾しないことが明らかとなった。ただし,組成がずれてFeが過剰な場合には,少数スピンのフェルミ準位近傍にギャップ内状態が形成されることもわかった。このギャップ内状態は局在性が強く,薄膜の実験で観測されているホッピング伝導の原因となりうることが示された。 2. ホイスラー合金(Fe-Mn)_3Si:第一原理計算を用いて(Fe-Mn)_3Siの電子状態と磁性を調べた。比較的幅広いMn組成の領域でハーフメタル的な電子状態が実現することが明らかとなった。また,半導体GeやGaAsとの格子不整合は数%であり,不整合による界面格子歪みがあったとしても,電子状態密度のスピン偏極率は90%と高いままであることもわかった。これらの結果から,(Fe-Mn)_3Siは半導体中に高スピン偏極電流を注入するための注入源として有望であることが示された。 3. MgOバリアを用いたバリスティク擬ハーフメタル接合:単結晶MgOバリアを用いた強磁性トンネル接合は,トンネル電流を支配するバンドに注目すればハーフメタル的な磁気抵抗特性を示す。強磁性電極としてbcc-CoおよびCoFeBを用いた接合におけるトンネル分光の実験結果を,単純な模型を用いて解析した。この結果,トンネルスペクトルには強磁性体電極のバンド構造,界面マグノンの影響が現れていることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)