2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン導電性カルコゲナイドガラスにおけるフォトイオニクス現象の微視的機構の解明
Project/Area Number |
19560014
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安仁屋 勝 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30221724)
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Keywords | イオン伝導 / 中距離構造 / 非線形光学定数 / フォトイオニクス / フラジリティー / カルコゲナイド / ガラス / アモルファス半導体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、貴金属を含むカルコゲナイドガラスにおけるイオン輸送特性と光機能特性の微視的機構を明らかにすると共に、これらの接点から生み出されるフォトイオニクス現象の可能性とその基礎物性を理解することにある。本年度の研究実績は次のとおりである。 1.イオン導電性ガラスが示す交流イオン伝導度の振動数に対するベキ指数、前指数定数、およびガラスの中距離構造を反映するFirst Sharp Diffraction Peakの間にある関係を見出した。この結果は、ベキ指数には中距離(5-15A程度)でのポテンシャル壁のパターンの情報が含まれるという新しい解釈を与える。 2.昨年度見出した超イオン導電ガラスの大きな非線形光学定数の原因を解明すべく研究を行った。結合論的には、共有性とイオン結合性が共存しているとき、3次の電気感受率が大きくなるという予備的な結果を得ている。このことは、数年前に提案した超イオン導電体に対する結合ゆらぎモデルの予想とも合致する。 3.Cu_x(As_2Se_3)_<1-x>系において、構造単位間の結合の強さは大きな組成依存性を示すが、配位数とフラジリティーの組成依存性は比較的小さいことを以前提案した過冷却液体の粘性の温度依存性のモデルから見出した。また、粘性流動を起こす際に切断されるボンドの数を見積もり、Cuの濃度の増加と共にネットワークが成長することを示した。この結果は、種々の実験で見出されている貴金属を数%添加したときのカルコゲナイドガラスの異常な振舞いに対し解決の糸口を与える可能性がある。
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