2007 Fiscal Year Annual Research Report
La酸化物超薄膜/Si界面の原子レベル誘電特性の解明
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19560020
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 淳 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (50277836)
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Keywords | ナノ材料 / 電子デバイス / 表面界面物性 |
Research Abstract |
本研究は、実験から得られる経験的パラメータを一切用いない密度汎関数理論に基づく第一原理計算手法を用いて、La系high-k酸化物超薄膜とSiの界面におけるナノススコピック領域の原子スケール誘電特性を評価するものである。我々が最近開発した「ハミルトニアンに電場を組み込んだ第一原理計算手法」を用いて、外部電界の印加に伴う電子状態、原子配列の変化を評価することで、La_2O_3超薄膜/Si界面近傍における誘電率の原子スケールプロファイルとバンドオフセットのミクロスコピック描像を系統的に理解するための前段階として、本年度は、La_2O_3超薄膜の構造安定性と超薄膜の誘電率を求めた。薄膜の方位は六方晶La_2O_3の(0001)面とし、膜厚2分子層のモデルを構築した。この表面は極性面であり、酸素終端表面とLa-O終端表面の2種類が考えられるが、酸素終端表面の方が表面不飽和結合手が存在せずより安定であることがわかった。酸素終端超薄膜の有効誘電率は、静的誘電率が29.0、光学的誘電率が4.2となり、バルクLa_2O_3と誤差の範囲でほぼ同じ値を持つことが明らかとなった。このことは、La_2O_3は、超薄膜化により誘電率が減少することは無く、次世代ゲートスタック材料として、極めて有望であることを示唆するものである。また、以前求めていたSi超薄膜の誘電特性について、これまで用いていたSi(111)面に加え、Si(001)薄膜についても誘電率の評価を行った。その結果、Siは面方位によらず、ほぼ膜厚で決まる誘電率を有することが明らかとなった。
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