2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560021
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斎藤 峯雄 Kanazawa University, 数物科学系, 教授 (60377398)
|
Keywords | ナノ材料 / 計算物理 |
Research Abstract |
これまでに、Biナノ薄膜が、Si基板上で平坦に成長することが知られていた。平成19年度において第1原理計算を行い、Bi膜の構造を明らかにした。極めて膜厚の薄いときに観測される{012}膜では、表面原子のバックリングを伴う、最安定構造と、バックリングを伴わない、準安定構造が存在することを発見した。今年度は、これらの構造について、相対論的効果を取り入れた計算を行い、スピン軌道相互作用が構造に重要な影響を与える事が明らかとなった。 本研究では、従来行ってきた、平面波・擬ポテンシャル法を搭載したPHASEプログラムの他に、相対論的効果を取り入れるため、局在基底を用いるOpenMXプログラムを使用している、はじめに、二つのプログラムでバックリングした構造を最適化し、幾何学的構造についてほぼ同じ結果が得られる事を確認した。た。また、LDA法と比べてGGA法がより大きなバックリングを与えるという知見を得た。 相対論的効果を取り入れるとバックリングの大きさは小さくなった。また、表面原子の作る結合に関して、非相対論的計算では見いだされなかった、結合交替が生じることが明らかになった。さらにバンド構造は、相対論的効果を取り入れる事で、激変することが分かり、この電子構造の変化により、原子構造も大きく変化する事が明らかとなった。この様に、相対論的効果が、構造に大きな影響を与える例は、従来それほど、知られていないと考えられ、重い元素である、Biにおいて、その重要性が認識されたものと考える。この系は、軽い元素Pからなる薄膜とは、構造、電子物性ともに、大きく異なることが結論される。
|
Research Products
(19 results)