Research Abstract |
当該年度の前年にUltrasharp W tipを用い,単原子電子源をつくる試みは終了していた. Ultrasharp W tipは,先端極率半径が5nm程度と目される.このtip先端に高い正電界をかけ,先端の原子を電界蒸発させて,磁性原子を蒸発・収容させていくことになる.しかし, FIMによりIn-situで先端原子構造を見ずに,この処理をUltrasharp W tipに施し成功さすことは困難であった,つまり, Blindでの高電界印加は,度々,先端を著しく破壊した.そこで,先端のなまったW tip (Blunt W tip)を開始材料に用い,機械的耐性の強い単原子電子源を準備し,その先に磁性原子を修飾することとした. Blunt W tipを基材にした単原子電子源の作製はこれまで不可能とされてきたが,我々は, Remolding (R)と呼ばれる熱電界処理を事前に施し,構造形成を支援することとした,その結果,電界集中の程度を示す電界増強係数は,開始材料である清浄なW Blunt tipに比べ, R処理後,倍増し,さらに, SAE形成時には,4倍増となった,これらの処理により,先鋭化されたことが明らかになった.今後,単原子終端されているかを検証する.磁性原子または分子から電界放出させる実験には実施できなかった.FESによる実験について,当該年度は,装置の立ち上げを行った.真空チャンバーを整備し,6x10^<-8>Paまで圧力を低め,辛うじて分光実験に耐えうる真空環境ができた.そして,電子エネルギー分光装置本体を真空槽内に収めることができた.今後は,制御電源を整備し,稼動させることとする.以上,総括すると,目標の材料創製に向け,実験は進捗していると考える.
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