2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560030
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
高橋 正光 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00354986)
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Keywords | 結晶成長 / 放射線、X線、粒子線 / MBE、エピタキシャル |
Research Abstract |
本研究は、第三世代放射光X線を用いたX線回折法・強度ゆらぎ分光法を用い、化合物半導体の単結晶薄膜成長中に見られる動的現象を解析することを最終的な目的としている。本年度は、信号/バックグラウンド比を向上させるために測定系を改良し、表面構造のゆらぎに由来する微弱なスペックル散乱強度のゆらぎの検出をめざした。第一に、X線ビームのコヒーレント成分を切り出すため、直径10ミクロンのピンホールを入射X線側に設置した。第二に、非常に幅の狭いスペックルピークが切り出しやすくするため、試料と検出器との距離を従来の700mmから1400mmに離す装置改造をおこなった。第三に、試料に入射する前のビームの強度もモニターし、散乱強度を規格化した。上記の測定系の評価を放射光施設SPring-8のビームラインBL11XUにおいておこなった。まず、直径10ミクロンのピンホールを通過した入射ビームを、直径20ミクロンのピンホールを介してアバランシェ・フォトダイオードで測定したところ、垂直・水平方向ともにフラウンフォーファー回折パターンが確認され、測定の前提条件である空間的にコヒーレントなビームができていることが示された。続いて、ビームラインに直結した単結晶薄膜成長装置で作製したガリウムヒ素表面で全反射させたビームのプロファイルを同じくピンホールを介した検出器で測定した。その結果、試料表面に垂直な方向に分布する明瞭なスペックルパターンが認められた。全反射なので、原子レベルでの表面の凹凸を反映したものではないが、光学的な表面の微小な傾きの分布によって生じたスペックルであると考えられる。この散乱強度の時間変動の自己相関スペクトルを測定したが、ビームラインに由来する振動成分を上回る有意な時間相関は検出されなかった。大きな構造ゆらぎを示す系・条件の探索とともに、強度規格化の方法の再検討を今後おこなっていく。
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