2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560034
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中島 伸治 Shizuoka University, 工学部, 教授 (20164189)
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Keywords | 位相回復 / X線イメージング |
Research Abstract |
本年度の研究成果としては,主に2つの結果を得た.まず,コヒーレントX線照明した物体の回折波強度測定の際に生じる中心周波数データ消失問題(物体からの回折波の中心部分情報が強い直接波と重なり埋もれてしまう問題)に対して,從来の反復法とは異なる,サンプリング定理を用いた補間法による消失データ復元法を提案し,それが本研究の解析的位相回復による物体再生に非常に有効であることを計算機シミューションで明らかにした.この方法は,従来の反復法による復元法とほぼ同じ効果があるが,解析的方法であるため計算処理時間が短いという利点をもっている.この成果は,論文として発表する予定である. 次に,レーザーダイオード光学素子からなる実験システムを用いて、本研究の位相回復法による物体再生法の有効性を示す結果を得た.この方法は,レンズなどの結像系や参照波による干渉システムなどを利用していないため,X線や電子線などの波動によるイメージング法に拡張可能であるという利点をもっている.特に,現在よく利用される反復法による位相回復では,1枚の回折波強度分布から複素振幅物体を再生することが非負条件を利用できる振幅物体再生に比べて非常に難しいという問題があるか,本方法は,解析的方法を用いているので,そのような問題がないという優位な特徴をもつ.しかし,今年度の実験は予算の関係で,簡易的な実験しか行えなかった.再生物体の精度の評価などを厳密に行うためには,今後,実験装置を揃えて,より精密な実験を行う必要がある.
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