2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560035
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 卓 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 教授 (40204036)
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Keywords | ランダムレーザー / フラクタル / 光硬化性樹脂 / 多重散乱 / スペックル |
Research Abstract |
本年度はフラクタルスペックル構造をもつランダム媒質の光散乱特性に関するシミュレーション、およびフラクタル性微粒子媒質の実験およびシミュレーションを行った。研究成果は以下の通り。 1.交差スペックル構造をもつフラクタルランダム媒質を計算機内に作成し、これに光を照射したときに生じる媒質内部の散乱光の電磁界変化をFDTD法により解析した。フラクタルスペックル媒質は通常のスペックル媒質とほぼ同等の散乱特性を示したが、目標としたより強い光閉じ込め効果は示さなかった。これは、解析領域の狭さにより、自己相似構造を持つフラクタルの特徴が出なかったためと思われる。 2,球状・棒状・凝集型等各種形状を持つ酸化チタン微粒子を分散した色素ドープ固体ポリマー媒質を用いてランダムレーザー発振実験を行った。その結果、凝集型や針状微粒子で共鳴型ランダムレーザー発振が起こりやすいという結果を得た。凝集型微粒子や針状微粒子を分散したものは、様々なサイズの構造を内包していることから、スケーリング性を持つ構造がレーザー発振に有利であることが示唆された。ただし、11種類の粒径(42.4nm〜1000nm)を持つ球状微粒子を分散したフラクタル媒質を作り発振実験を行ったが、レーザー発振はしなかった。 3.上記多分散微粒子で発振が起こらなかった原因を探るため、光子のモンテカルロシミュレーションを行った。11種類の粒径を持つ粒子を混合した多分散微粒子の場合、外部からの励起光はほとんど媒質内部に浸透せず、また、内部から出た出射光は出射点近傍にとどまり、媒質外部に放射されにくいことが明らかとなった。光の閉じ込め効果が高いことはランダムレーザー発振には有利であるが、励起とレーザー光取り出しの観点からは必ずしも有利ではないという知見が得られた。
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