2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属/誘電体サブ波長格子によるスラブ導波路型高分散プリズムの試作
Project/Area Number |
19560036
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
菊田 久雄 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (10214743)
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Keywords | 金属誘電体多層膜 / 分光プリズム / 微小光学 |
Research Abstract |
本研究では、高分散分光プリズムや狭帯域波長選択フィルタ、アクロマチック導波路レンズなど、新しい光学デバイスの実現を目指して、金属と誘電体からなるサブ波長周期格子を用いたスラブ導波路型の高分散分光プリズムの試作に取り組んだ。とくに、サブ波長周期の誘電体基板に金属メッキを施す方法で金属/誘電体格子を作製する方法確立し、導波路型分光プリズムを試作して、その機能を実証することを目的としている。金属/誘電体サブ波長格子は、分散面の形状が限られているので誘電体フォトニック結晶のような多彩な機能を持たせることはできないが、作製誤差に強い安定した光学特性が期待できる。平成19年度は、高い分散能を得るためのプリズム形状の設計を行うとともに、スラブ導波路の金属/誘電体多層構造を電解メッキ法によって作製する手法を確立した。 プリズム設計では、従来の三角プリズムよりバームクーヘンのような曲率をもつプリズムが高い分散能をもつことを理論的に示し、具体的なプリズム形状の設計を行った。また、作製の容易さを考慮して、導波路の上下面が誘電体である場合の他、上面または上下両面が金属で覆われている構造についての光波伝搬特性の解析を行い、いずれの場合もスラブ導波路として機能することを示した。 金属/誘電体多層構造の作製おいては、電子線直接描画によってレジスト膜にサブ波長周期の溝構造を形成し、その溝部に金属を埋め込む手法について検討を行った。銀の無電解メッキでは析出される銀粒子の径が大きくなって、細い溝部に銀が充填されなかった。その他、ITO膜をもつ基板を使っての作製など、幾つかの方法を試した結果、真空蒸着によって誘電体の溝部に金属薄膜を設け、これをメッキの電極として利用する手法が最も適していることが分かった。20年度はこの方法によってプリズムの作製を行い、高分散の分光機能を得られることを検証する。
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