Research Abstract |
1.最近我タのグループで開発した実対称固有値問題の数値解法である多分割の分割統治法(DC-k)をHITACHI SR11000 の1ノード,(16CRU)上に実装し,並列版LAPACKの2分割の分割統治法(DC-2)MRRR.との性能,精度の比較を行った。現在の実装はまだプレリミナリであるが,テスト行列の大部分に対して,DC-2に比べて高速,精度は同等,また,MRRRに比べて高速,高精度を実現している。実行時間の一例を挙げると,平均0,分散1の正規乱数を密に発生させた20000次実対称行列(量子物理のランダム行列に相当)を対称三重対角化した行列の全固有値,固有ベクトルの計算に,DC-2MRRRは平均114秒,84秒程度の実行時間を要するが,DC-k(ただし分割数k=30)は平均32秒で済む。専門誌への投槁はまだ行っていないなが,東京大学情報基盤センター発行のスーパーコンピューティングニュースへ中間報告を行った。 2.クロネッカ基底の存在を幾何学的・構成的な方法を用いて証明した。証明に基づき,与えられた任意の行列束に対し,そのクロネッカ標準形およびクロネッカ基底を求めるアルゴリズムを構築し,プレリミナリではあるが,数値実験で有効性を検証した。応用として,一般性の最も高い,特異な一般固有値問題の解を全て求めるアルゴリズムを構築し,プレリミナリではあるが,数値実験で有効性を検証した。以上の成果のうち,理論的側面に関する成果をまとめ,Linear Algebra and its Applicationsへ投稿し(Hiroki Hashiguchi,Kazuyuki Hiraoka,Takaomi Shigehara,Quasi-Duality Inherent inPencil),現在,査読中である。
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