2008 Fiscal Year Annual Research Report
実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法の発展と応用
Project/Area Number |
19560058
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
重原 孝臣 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (60206084)
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Keywords | 応用数理 / 数値線形代数 / アルゴリズム / 実対称固有値問題 / 分割統治法 / クロネッカ標準形 / ジョルダン標準形 / HPC |
Research Abstract |
1.実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法の共有メモリ型並列計算機における有効性を実証した。特に物理モデルでしばしば現れる、減次が少ない行列に関しては、並列版LAPACKに収められている標準的ライブラリを上回る性能、同等の精度を実現した。引き続き、分散メモリ型並列計算機への実装作業を行っている。 2.実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法においては、所与の行列に応じて適切な分割数を決定することが重要になる。適切な分割数は減次の発生率と密接に関連していることから、小規模なベンチマークテストで減次の発生率を予想し、テスト結果に基づき、適切な分割数を自動決定するためのアルゴリズムを構築した。 3.平成19年度に与えた、任意の行列束に対するクロネッカ基底の存在に関する構成的証明に基づき、クロネッカ基底計算アルゴリズムの本格実装を行い、アルゴリズムの妥当性、有用性を実証した。クロネッカ基底を直接計算できる実用的なアルゴリズムは、この研究で提案したアルゴリズム以外にはこれまで知られていない。 4.3.の研究成果を応用し、任意の正方行列に対するジョルダン基底の存在に関する構成的証明を与え、証明に基づき、ジョルダン基底計算アルゴリズムを構築した。実装はプレリミナリの段階であるが、アルゴリズムの妥当性は検証できている。
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