2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所線形化手法に依るダイナミカルノイズの実践的影響解析
Project/Area Number |
19560062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
等々力 賢 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10270886)
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Keywords | 数理工学 / 数理物理 / 情報工学 / 非線形 / 時系列解析 |
Research Abstract |
本研究では、ダイナミカルノイズのカオスへの影響解析を行った。本年は、ミクロな視点の手法として、局所的な特異値分解法のうち、「サポートベクターマシン(SVM(Support Vector Machine))を用いた手法」を中心に研究を進めた。本手法は、対象とする現象を、非線形変換を通して高次元の特徴空間へと展開し、特異値分解を行うことによりダイナミカルノイズの影響を抽出する手法である。 非線形変換を行うに当たりカーネル関数が必要となるが、本研究ではカーネル関数として一般的に用いられるガウシアン関数を用いた。プログラムはC言語で作成し、Chuaの電子回路モデルに対して本手法の適用を試みた。 従来と同様に、ノイズ無しデータ、観測ノイズのみのデータ、ダイナミカルノイズのみのデータ、両ノイズの混合データの4種類のデータに対して解析を行った。その結果、観測ノイズの存在に依らず、ダイナミカルノイズに特徴的な変化を抽出できることがわかった。これは従来法と同様の結果であった。幾つかのパラメータ値を用いて解析を行い比較をした結果、いずれの場合も定性的には同様の結果が得られたが、抽出される特異値のゆらぎの大きさには違いが見られ最適なパラメータ値が存在することが示唆された。 今回は、利用した空間がミクロな場合については十分には解析ができなかった。また、位相空間上でダイナミカルノイズに特に鋭敏な領域の特定やその領域についての解析は十分には行うことはできなかった。さらに、高次元空間に対応して高次行列を扱う為、計算時間と、計算機のメモリ領域の制約から、十分なデータ数での解析を行うことができなかった。これらは、吟後の検討課題である。それでも、少ないデータ数で定性的には十分な結果が得られたことから、今後、実現象を扱う上で有荘な結果が得られたものと考えられる。
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