2010 Fiscal Year Annual Research Report
局所線形化手法に依るダイナミカルノイズの実践的影響解析
Project/Area Number |
19560062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
等々力 賢 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (10270886)
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Keywords | 数理工学 / 数理物理 / 情報工学 / 非線形 / 時系列解析 |
Research Abstract |
あらゆる系に本質的に内在する「ダイナミカルノイズ」のカオスへ及ぼす影響を、ミクロな視点から抽出する2種類の手法、(1)局所的な特異値分解法(Local SVD)、(2)サポートベクターマシン(SVM)を用いた手法を提案し、電子回路カオスモデル(Chua's circuit)の1次元時系列データを用いて、これらの有効性を検証した。「ダイナミカルノイズ」の影響は、特異値のゆらぎに依り抽出される。手法(1)では、従来のマクロな視点では得られなかった局所的な変化の様子や、特異値間の影響の違い等、様々な特徴的な影響が明らかとなった。手法(2)では、局所的な影響は十分には抽出できなかったが、カーネル関数内のパラメータ値に対する抽出結果の依存性が見られ、最適条件を見出すことに依り局所的な影響が抽出できる可能性が示された。手法(1)での局所空間の探索や、手法(2)での高次元空間での高次行列の構築には多くの計算コストが必要となった。そこで、その軽減対策として、ハード面では計算機性能の向上とクラスターに依る並列化、ソフト面では並列アルゴリズムMPI(Message Passinglnterface)を用いた並列化プログラムの作成を行い、計算効率の改善を図った。他方、カオス電子回路を実装し、人工的にノイズ与えることに依りダイナミカルノイズのシステムへの影響を調べた。その結果、マクロの手法、ミクロの手法(1)のいずれの場合でも、全体的には互いに類似の結果を得ることができたが、特にミクロの手法(1)については、数値解析での結果と同様に様々な局所的な特徴が得られた。実験では、非定常性を完全に排除することには困難さも見られたが、実験環境の改良や利用するデータ数の低減に依り、全体的にはミクロな視点からの本提案手法は実データに対しても有効であることが示された。
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