2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ界面構造最適化のための実空間有限要素法による第一原理計算の高度化
Project/Area Number |
19560073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 暢宏 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (70230696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎原 良典 東京大学, 生産技術研究所, 機関研究員 (90466855)
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Keywords | 第一原理計算 / 実空間法 / 異材界面 / 大規模原子系シミュレーション / 並列計算 / スペクトル有限要素法 |
Research Abstract |
実空間法により大規模第一原理計算を実施することを目標に,高次の基底関数を用いるスペクトル要素法の適用可能性を検討した.スペクトル要素法による密度汎関数法の定式化を通じて,その効果について理論的考察を行なった.スペクトル要素法により不完全積分を行なうことで,質量行列の対角化および運動エネルギー行列のスパース化が行なわれ,行列の非ゼロ成分数が大幅に削減される.その効果を,基礎的問題を解くことで実際に確認し,高次の基底関数を用いたときの誤差と計算量の関係の考察を行い,要求される解の精度に対して最適な基底関数の次数があることを示した.不完全積分の解の精度への影響が小さいことをPoisson方程式の求解を通じて示し,基底関数次数の並列効率への影響を示した.マグネシウム結晶に対して,スペクトル要素法を適用した密度汎関数法による第一原理計算を行い,大規模原子系計算を念頭に置き,適用性の検討を行なった.不完全積分による計算精度への影響が小さいこと,行列のスパース化により計算時間が大幅に削減されることを確認した.高次の基底関数を用いることにより自由度が大幅に削減されること,たとえば基底関数の次数が6次のとき自由度が1/10程度に削減され,計算時間が大幅に削減されることを示した.基底関数の次数と計算時間の間にはトレードオフ関係があり,要求される精度に対して最適な次数があることを示した.ただし,並列効率の観点からは,高次の基底関数の適用性は高くないことが明らかになった.
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