2008 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性付与材料の超高サイクル疲労信頼性評価・保障と利用の最適化
Project/Area Number |
19560080
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
塩澤 和章 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (90019216)
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Keywords | 超高サイクル疲労 / 破壊機構 / 内部破壊 / 表面破壊 / 破壊機構の遷移 / 残留応力 / 熱処理 |
Research Abstract |
高機能性付与材料の超高サイクル疲労に現れる内部き裂発生型疲労破壊の機構解明を行い,高信頼性・安全性を保障する疲労設計手法の確立,有効な疲労強度向上策と最適な高機能性付与条件の確立を目的として,高強度鋼,低合金鋼およびマグネシウム合金展伸材の回転曲げ疲労試験および軸荷重疲労試験を行い,以下の結論を得た. 1.低合金鋼JISSNCM439の軸荷重疲労試験(R=-1)を行い,回転曲げ疲労試験結果との比較検討を行った.その結果,両実験結果から得られたS-N曲線はいずれも二段折れ曲がり(二重)S-N特性を示した.このことは負荷応力こう配の違いや危険体積の違いによるS-N特性の相異では無いことを示しており,実験方法に依存することなく現れるS-N特性である.従来観察されている実験方法(負荷様式)によるS-N特性の違いは試験片の表面圧縮残留応力の違いによって現れるものであることを破壊力学的考察による破面形態遷移図から明らかにした. 2.焼入れ後の焼戻し温度の異なる4種類の低合金鋼JIS SNCM439の回転曲げ疲労試験を行い,疲労強度特性に及ぼす焼戻し温度の影響について検討した.低温焼戻し材では二段折れ曲がりS-N曲線を呈し,高応力振幅・短寿命域の表面き裂発生型破壊から低応力振幅・長寿命域の内部き裂発生型破壊に変化した.内部き裂発生起点となった介在物周囲にはGBF領域が観察された.また,内部き裂発生型破壊の疲労寿命には焼戻し温度の影響は認められなかった.高温焼戻し材では表面き裂発生型破壊のみが認められ1億回までの繰返しにおいて内部き裂発生型破壊は生じず,明瞭な疲労限度が現れた.焼戻し温度の相異によって現れる超高サイクル域の疲労特性の違いは基材中に形成される微細炭化物の大きさと分布によるものであることを明らかにした. 3.高速度工具鋼JIS SKH51のねじり疲労試験を行い,超高サイクル域のねじり疲労特性について検討を行なった.その結果,応力振幅の低下に伴って表面き裂発生型破壊から内部き裂発生型破壊に破壊機構が変化した.しかし,内部き裂発生起点の介在物周囲にGBF領域の形成は,回転曲げおよび軸疲労で認められる寿命域においても,確認できなかった.FEMによる介在物および微細炭化物周囲の応力分布解析を通して,GBFを形成する微細炭化物のはく離には垂直応力の大きさが影響していることが明らかとなった. 4.マグネシウム合金AZ80押出し材の超高サイクル疲労試験の結果,二段折れ曲がりS-N曲線を呈し,これは高応力振幅域の双晶および低応力振幅域のすべりに起因する2種類のき裂発生機構によるものであることを明らかにした.
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Research Products
(12 results)