2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性付与材料の超高サイクル疲労信頼性評価・保障と利用の最適化
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19560080
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
塩澤 和章 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (90019216)
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Keywords | 超高サイクル疲労 / 破壊機構 / 疲労信頼性 / 内部破壊 / 高機能性付与材料 / 高速度鋼 / 展伸マグネシウム合金 |
Research Abstract |
(1)高強度・高硬度・耐摩耗性を有し,かつ高疲労強度・高疲労信頼性の要求される高機能性材料の開発を目的として,高速度鋼JIS SKH51を基材として新合金の開発を行い,疲労信頼性の評価を実施した.通常,高速度鋼の超高サイクル域の疲労において二重S-N曲線を呈する.これは高応力振幅・短寿命域における介在物を起点とした表面破壊から,低応力振幅・長寿命域における内部介在物を起点とした内部破壊に遷移するためである.長寿命域で破壊した破面には内部介在物周囲にGBF領域が形成され,超高サイクル域の疲労破壊を支配する.当該研究者はGBF領域の形成機構として「微細炭化物の離散剥離説」を提案してきた.新合金の開発指針として,本説を基礎に非金属介在物の低減,粗大炭化物の微細化および析出微細炭化物の低減および極微細化を行った.新合金の片持ち回転曲げ疲労試験および軸荷重疲労試験を実施した結果,高応力振幅域における粗大炭化物を起点とする表面破壊から低応力振幅域における組織割れに変化する二段折れ曲がりS-N曲線を呈し,GBF領域を形成する内部破壊を抑制することができた.基材に形成される微細炭化物の定量的評価の結果,WおよびMoを主体とするM_6C系炭化物とVを主体とするMC系炭化物が形成されており,GBF領域の形成の抑制にはMC系炭化物の減少が有効であることが明らかとなった.新合金の超高サイクル域における疲労強度は比較材であるSKH51よりも向上することが確認され,また,窒化による表面改質処理によって,さらに疲労強度を向上できることが明らかとなった. (2)軽量化機器の開発を目的として,展伸マグネシウム合金の超高サイクル疲労試験を実施して疲労強度特性評価を行った.S-N曲線は表面き裂発生型破壊を示す二段折れ曲がりの形態となることを明らかにした.この特異なS-N曲線は高応力振幅・短寿命域における変形双晶に支配される疲労破壊から,低応力振幅・長寿命域における結晶のすべりに起因する疲労破壊に破壊形態が遷移するためである.疲労変形挙動および疲労破壊に対して.稠密六方格子構造と押出しによる結晶の配向に起因した変形異方性の影響を考慮すること,および変形双晶の影響を考慮することの重要性を指摘した.
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Research Products
(21 results)