Research Abstract |
多軸疲労強度設計の現状から,非比例・多軸の過酷負荷状態下にある機器・構造物の健全性および信頼性保証(安全・安心)の点からも,適切な非比例多軸疲労の変形・損傷モデルを構築することは,設計技術者からも強い要望がある.しかしながら,いくつかの寿命評価モデルが提案されているが,ASME基準等に代わる寿命評価モデルの完成の域には至っていないのが実状である.本研究では,多軸疲労強度設計基準を構築する上で,多軸疲労研究の成果の鍵を握る実験研究,また,研究者と設計現場が抱えている諸問題の把握や国際的な動向等の調査が必要であるとの認識から,(1)研究調査,(2)多軸疲労試験,(3)設計基準の構築,を主柱とする研究を実施することを目的としている. 本年度の研究では,(2)の研究を主に実施し,ある一定の成果を得た.すなわち,各種金属材料の非比例多軸負荷による変形特性および寿命特性,とくに応力増加と寿命低下のメカニズムの材料依存性の解明に主眼を置くとともに,主に材料工学の切り口から多軸下における材料強度特性を示した.また,軸・ねじり多軸油圧シリンダーを備えた高速繰返し試験対応の試験装置を開発し,同試験装置による応力制御の試験(高サイクル疲労)も次年度から開始する準備が整った.さらに,本年度は新たに,(3)の設計基準の構築にあたる寿命評価法の開発および実設計基準への反映に向けた具体的な検討を行い,最終目標達成に向けた次年度の研究内容の具体的な指針を得た.
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