2007 Fiscal Year Annual Research Report
キャビテーション減肉評価技術の確立と耐キャビテーション被覆材料の開発
Project/Area Number |
19560083
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
服部 修次 University of Fukui, 工学研究科, 教授 (00143933)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 紀英 福井大学, 工学研究科, 助手 (20262610)
|
Keywords | キャビテーション / Ti-Ni形状記憶合金 / 硬さ |
Research Abstract |
キャビテーション壊食は、水車、ポンプなどの流体機械をはじめ、多くの産業機械や部材で流体が接している個所に生じている。現在、耐キャビテーション壊食性に優れた工業材料としてコバルト基合金のステライトが原子力プラント用の部材として使用されている。しかし、ステライトを使用する場合には、コバルトが原子炉中に流出し、放射線を受けると放射化してプラント内の放射線量を増加させるという問題がある。そこで、コバルトを含まない耐キャビテーション壊食性に優れた代替材料が望まれている。本研究室では、Ti-Ni形状記憶合金の耐キャビテーション壊食性が非常に優れていることを報告している。しかし、Ti-Ni形状記憶合金は非常に高価で、成形加工が困難であるために構造材料として難点がある。そこで、Ti-Ni合金を表面被覆である肉盛材料として用いることを検討した。 本研究では、ステライトに代わる肉盛材料としてTi-Ni肉盛材料を使用しキャビテーション壊食試験を行った。肉盛材料の製作過程で、粉体の条件が異なる5種類のTi-Ni肉盛材業を施した試験片を用いてキャビテーション壊食試験を行い、耐壊食性と壊食抵抗を検討した。また、各種のTi-Ni肉盛材料と参照材料の壊食試験結果を比較し、壊食特性を検討した。その結果、純Tiと純Niを混合した混合粉による肉盛材料は、肉盛施工時に均質な金属間化合物とはならないので、耐壊食性の向上は得られない。金属間化合物を粉体化した合金粉を用いて肉盛する必要がある。また、硬い材料ほど耐壊食性に優れており、Ti-Ni形状記憶合金肉盛材の耐壊食性は、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304に比べて2〜10倍は優れているということがわかった。
|