2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞培養環境下疲労試験システムの構築と低弾性率生体適合性材料ゴムメタルの実用化
Project/Area Number |
19560084
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
植松 美彦 Gifu University, 工学部, 准教授 (80273580)
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Keywords | 材料強度 / 疲労 / 新材料 / 生体環境 / 腐食 |
Research Abstract |
昨年度のβ型チタン合金ゴムメタルとの比較検討を行うため,ゴムメタルと同様に生体材料として期待される高窒素オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304N2を用いて,大気中と3%NaCl水溶液中で疲労試験を行った.その結果大気中では,汎用のオーステナイト系ステンレス鋼SUS304と比較し,SUS304N2は約20%高い疲労限度を有することが判明した.また,3%NaCl水溶液中では,SUS304N2の疲労強度は大気中とほとんど同じであり,明瞭な腐食ピットも認められなかった.すなわち,ゴムメタル同様SUS304N2も,生体材料として高い耐食性を有することを明らかにした.次に,細胞培養環境下の疲労試験システムを構築した.まず,試料表面に付着させた細胞をインキュベータ内で増殖させ,その後試料表面の腐食様相を観察した.3%NaCl水溶液中では腐食ピットが生じなかったゴムメタル,SUS304N2ともに,細胞培養環境下では多数の腐食ピットが発生することが判明した.これは,細胞の生体活動によって生じる活性酸素の影響と考えられる.さらに,試料表面で細胞を増殖させた後,培養液を滴下しながら回転曲げ疲労試験を行う,細胞培養環境下疲労試験を実施した.その結果,ゴムメタル,SUS304N2ともに顕著な疲労強度の低下は認められなかった.これは,繰返し速度19Hzと比較的速い周波数で実験を行っており,腐食の影響が顕在化しなかったためと思われる.人が運動する際に加わる荷重の繰返し速度は1〜2Hz程度であることを考慮すると,デバイス設計に用いる場合には1〜2Hzまで速度を落として試験を行う必要があることを示した.
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Research Products
(2 results)