Research Abstract |
1.薄い金属板を積層して製作した円筒面を水中に設置し,その端面にパルスレーザー光を照射して円筒の中心軸に集束する衝撃波(パルスレーザー誘起水中集束衝撃波)を発生させた。衝撃波の発生には,波長694nmのルビーレーザーを用いた。照射面におけるレーザー光のエネルギー密度は約2kJ/m^2であり,気泡の発生はない。 2.発生した集束衝撃波を,シャドーグラフ法を用いて可視化した。その結果,線形波動方程式から予測される波面と同じ形の衝撃波面が観察された。 3.レーザー誘起衝撃波の圧力波形を測定した。その結果,以下のことが判明した。 (1)平面衝撃波を発生させた場合,圧力波形はレーザーの出力波形に近い。 (2)球面集束衝撃波の圧力波形をその焦点位置で測定した場合,圧力波形はレーザー出力波形の時間微分に近い波形となる。 (3)上記(1),(2)の結果は,理論的な予測と一致する。 4.上記の結果から,レーザー誘起水中衝撃波は,線形波動で近似することが出来る。 5.人体を模擬できる透明材料としてゼラチンと寒天を用い,衝撃波の可視化実験を実施した。その結果,透明性が高いことと音速を変えられることから,人体を模擬する材料として寒天が適していることが確認された。 6.寒天中に炭酸カルシウム試験片を設置し,それにパルスレーザー光を照射した。その結果,以下の2点が明らかになった。 (1)パルスレーザー照射により,炭酸カルシウム試験片は破砕される。 (2)しかし,レーザー光を多数回照射すると,試験片の飛散が確認された。 (3)上記のことは,レーザーによる結石の破砕治療を実施する際,結石の飛散が周辺臓器に損傷を与える可能性を示唆している。
|