Research Abstract |
(1)リポソーム内におけるアクチンフィラメント構造形成ダイナミクス 細胞構造要素を部品とみなし,in vitroで人工的に組み立てる再構成系構築の第一歩として,まず,細胞膜のモデルとなるリポソーム,および,細胞骨格の一種であるアクチンフィラメントに着目し,両者のin vitroにおける再構成条件を検討した.さらに,リポソーム内にアクチンフィラメントを再構成する手法として,マイクロインジェクション法の適用可能性について検討を加えた.その結果,まず,PEG濃度に応じて,ジャイアントリポソームの生成数が変化することを示した.次に,アクチンフィラメントの形成において,カルシウムイオン濃度によりフィラメントの長さが変化することを示した.さらに,マイクロインジェクション法により,リポソーム内への蛍光ビーズの注入が可能であったことから,部品の組み立て手法として本手法が有用であることを示した. (2)ハイブリッド形成による環状一本鎖DNA作製手法の検討 DNAによる微小構造形成を目指して,高次構造を構築する際の素材となる直鎖状一本鎖DNAの塩基配列を設計し,ハイブリッド形成により環状一本鎖DNAを作製した.さらに,高次構造を設計,構築する際に鍵となるHybridizationの過程に関する知見を得るため,環状一本鎖DNAの作製に用いる2種類のDNAの水溶液中における運動観察を試みた.実験の結果,環状ssDNAの作製には,環を作る本体となるPrecursor DNAの両端を閉じた状態で拘束するTemplate DNAを用いることが有効であることが示された.また,この際,Precursor DNAが自身でへアピン状の二次構造を作る必要が必ずしもないことが示唆された.さらに,Precursor DNAとTemplate DNAが結合すると,分子の形態の変化により拡散係数の変化がもたらされることが示唆された.
|