Research Abstract |
(1) アクチンフィラメント構造形成ダイナミクス まず,粗視化動力学を適用することで,少数アクチンモノマーの重合・脱重合・切断によるフィラメント構造形成過程に関する数理モデル化とシミュレーションを行った.ここでは,アクチンフィラメント重合・脱重合過程に対して,アクチン関連タンパクを考慮することで,切断に伴う重合端の増加が,フィラメント構造全体の重合速度に及ぼす影響を明らかにした.次に,これらの現象に対して,分子レベルにおける揺らぎが重要となる空間・時間スケールを抽出し,粗視化手法を用いた分子ダイナミクスのモデリングについて検討した.さらに,分子動力学シミュレーションにより,アクチンフィラメントの力学特性を評価する手法を検討し,これを用いてフィラメントの引張剛性の評価すると共に,実験値との比較を行った. (2) 一本鎖DNA(ssDNA)を用いたナノ構造設計と構築 まず,ssDNA要素部品設計と環状ssDNAの構築に関する検討を行った.これまでに検討した一本鎖ssDNA作製のための基本となるプロトコルを用いて,構築される構造のサイズや種類の変化について検討を行った.また,少数DNAからなる短いssDNAについて,これまでとは異なる一次配列を設計し,環状化の結果として得られる構造体の寸法や構造について,定量的な比較を行った.さらに,それらの組み合わせによる構造体の相違について,再現性や定量性に関する検討を加え,各条件が及ぼす結果の相違やばらつきについて,定量的に評価した.
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