2008 Fiscal Year Annual Research Report
冷間/温間非比例二軸圧縮に伴うチタン系材料の双晶支配型硬化挙動
Project/Area Number |
19560092
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 一郎 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (10263625)
|
Keywords | 多結晶金属 / チタン / 塑性変形 / 加工硬化 / 二軸圧縮 / 双晶 |
Research Abstract |
当該年度は,集合組織調整が容易な熱間圧延純チタン板を主として用いた.圧延集合組織を基本とし,真空焼鈍と予圧延により,異なる初期集合組織を有する試験片を準備した.また,一部の試験片については切出し角度を変えることによりc軸を面垂直方向に配置し,圧縮に伴う変形双晶の促進を図った.これらの試験片に対して,ひずみ平面全体を網羅する二軸圧縮と,圧縮途中でひずみ経路を急変させる二軸圧縮を実施した.前者から得られた応力ひずみ関係を基に等塑性仕事点を評価した結果,初期異方性に起因した降伏曲面の非対称性,すなわち加工硬化率の経路依存性が現れること,その程度は変形双晶割合にほぼ対応することなどを明らかにした.また,後者から得た応力ひずみ関係と双晶割合を比較することにより,経路急変前の予圧縮量が大きいほど経路急変後における新たな双晶の発生が促進されること,その傾向は経路変化角が大きいほど顕著になることなど,多くの新しい知見を得た.これらの成果は,純チタンの多軸鍛造において,初期異方性に応じて適切なひずみ経路を選択することにより変形双晶の制御が可能となることを示唆しており,塑性異方性を含めた最終組織の最適化につながる重要な情報と考えられる.一方,加工温度の影響については,昇温装置の問題から未だ高温域での試験に成功していないものの,200℃付近の温度域における単軸圧縮および二軸圧縮結果より,昇温時には変形双晶の発生割合が低下し,その影響として冷間時に現れる一時的な加工硬化率増加の抑制が認められた.今後さらに昇温機能の改善を図ることにより,高温域まで段階的なデータ取得を実施し,多軸鍛造時の温度環境選択に有用な情報を提供したい.
|
Research Products
(3 results)