2009 Fiscal Year Annual Research Report
構造物の内部における力の伝達経路に関する新しい指標の開発
Project/Area Number |
19560099
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 邦弘 Keio University, 理工学部, 教授 (60095619)
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Keywords | 構造解析 / 有限要素法 / 荷重伝達 / 荷重経路 / U* / ナストラン / 相補エネルギー / 車体構造 |
Research Abstract |
結合度U*および相補結合度U**は,負荷点とある任意の点との結合の強さを表す当研究室で開発した指標である.このU*とは,ある負荷により構造物に蓄えらえるエネルギーUと,任意の点Cを固定して負荷点に同じ「変位」をえたときのエネルギーU'との比で表現される. 本年度は,自動車車体の正面衝突時の前部からの力の流れを表現することを試みた.大型トラックのキャブ構造に関し,後部積荷と前部剛体バリアの間に挟まれて前後で圧縮される負荷を受ける場合の荷重伝達を検討した.塑性域における荷重伝達性能の低下を表現した.衝突初期における場合に限って検討を行った.非線形陽解法衝突解析ソフトLS-Dynaを用いてバリア衝突の計算を行い,非線形性を表現するm値を導入した.その変形モデルを今度は線形陰解法の静解析ソフトNastranに適用してU*およびU**解析を行った. 計算の結果,衝突初期としてm値を2とし,衝突後4msでの変形を基にしてU*/U**解析を行うことが効果的であることを示した.これを"m2-4msU*"として今後の標準条件とした.車体部材の角部に力が強く流れていることを示し,また床部がせん断で有効に荷重を伝えていることを表現することができた.さらにU*とU**の表示による比較を行い,大部分の場合には,U*とU**のどちらを用いても差し支えないことを明らかにした. これまでの3年間を通じ,構造物の荷重伝達の検討を行ったが,永年にわたり慣れ親しんだ応力による強度検討と同時に,U*/U**による荷重伝達の検討を並行して行う重要性のあることを強く確認することができた.
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