2008 Fiscal Year Annual Research Report
微細表面形状を有する切削工具技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
19560113
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 俊之 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20403149)
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Keywords | 切削加工 / トライボロジー |
Research Abstract |
前年度に引き続き,超硬切削工具(インサート)の表面にフェムト秒レーザを用いてナノーマイクロオーダの極微細溝を形成することを試みた.その結果,切削工具表面に深さ100nmおよび200nmの極微細溝を正確に形成できることを明らかにした.そしてさらなる潤滑性の向上を目的に工具表面にDLCコーティングを行った. この新たに開発した工具により現有のマシニングセンタを用いてアルミニウム合金(A5052)をフライス切削加工したところ,極微細溝を有していない通常の市販切削工具(DLCコートあり)に比べ,工具表面への切りくず凝着を大幅に抑制することができ,また切りくずせん断角の測定などから工具表面の潤滑性を大きく向上できることがわかった.しかし詳細な評価を行ったところ,わずかであるが工具表面には切りくずが凝着しており,加工進行とともにその凝着量が増加することがわかった. こうした問題を解決するために,切りくず流出方向に対する極微細溝の方向を検討し,さらに切りくずと工具表面との接触面積を減少させるとともに工具表面における切削液の保持性を高めることを目的に,極微細溝を帯状に表面に形成した工具を新規に設計・開発した.そして実験の結果,工具表面への切りくず凝着は市販切削工具に比べて15分の1以下に,昨年度開発した微細溝を表面に有する切削工具に比べ2分の1以下に劇的に抑制することに成功した.また加工中に測定した切削抵抗から導出した工具表面の摩擦係数については,市販工具より17%,昨年度開発した切削工具より9%ほど減少させることができ,優れた潤滑特性を実現することができた.
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Research Products
(1 results)