Research Abstract |
直径数mmの小径内面の精密研削において通常数万〜十数万min^<-1>の高速スピンドルが用いられているが,高速回転による振動や軸受部の発熱など問題が多く,低速のスピンドルを用いても要求加工特性が得られるような技術が望まれる.この点では,超音波援用研削は,研削抵抗の低減や砥石のセルフドレッシング効果などの利点があるため,十分に期待されている.しかし,従来の圧電励振式超音波スピンドルは,接触式給電装置を要するため,構造が複雑でメインテナンス性も悪い.本研究は,接触式給電装置が不要で構造が極めてシンプルないわゆる電磁力励振式超音波スピンドルを試作して小径内面の研削に用いることによって,全く新しい加工装置による小径内面の高精度高能率研削技術の開発を目的としている. 前年度では,一軸回転体の共振体を中心に電磁力励振超音波スピンドルユニットを設計・製作して励振テストを行った.その結果,共振現象が確認でき,最大振幅が0.2μm程度と得られた.また既設内研機を適宜に改造し,市販の圧電式ロータリ超音波スピンドルを搭載して比較実験ができるようにした.本年度では,試作スピンドルの振幅が実用レベルまで高くなるように出力がより大きい電磁石の改良設計製作を行った.また圧電式スピンドルを搭載した内研装置を用いて,超音波援用研削の加工特性を詳細に調査した.その結果は次のように要約する:(1)耐摩耗性が優れているメタルボンドダイヤモンド砥石のツルーイングで超音波を援用するとツルーイング効率と精度が高くなり,特にボンドテールの発生が抑制され,作用砥粒数が増えた;(2)砥石を超音波微振動させながら研削すると研削特性(研削抵抗,表面粗さ,内径真円度,研削比)が向上した;(3)研削特性に及ぼす超音波振動,回転数,切込み速度,砥石種類影響が明らかになった;(4)#5000微粒砥石目詰まりなしで使用可能になり,Ra20nm程度の鏡面が得られた.
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