2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノクラスタダイヤモンド-金属間のドライ低摩擦摺動機構の解明
Project/Area Number |
19560132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 寛之 Tohoku University, 流体科学研究所, 助教 (80325943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
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Keywords | トライボロジー / ダイヤモンド / 直接シミュレーション・モンテカルロ法 |
Research Abstract |
1) 研磨ダイヤモンドによる摺動及び摺動性能の環境依存性評価 湿度の異なる環境下で表面粗さの異なる研磨ダイヤモンド膜と金属の間のピンオンディスク摩擦磨耗試験を行い、摺動性能の環境依存性を評価した。低湿度、高湿度の環境制御のもとで摩擦磨耗試験を行い、ダイヤモンド膜の組織パラメータと低摩擦現象の相関について定量化した。その結果、比較的研磨度の高い(鏡面粗さの小さい)膜面では湿度を低く設定することで、長時間安定した低摩擦摩耗状態が得られることが示されたが、研磨度の低い(表面粗さの大きい)膜面においても相対湿度40〜60%程度の環境下において、安定した摩擦摩耗状態が実現することが明らかになった。この2つの安定低摩擦状態は接触面の解析により、トライボフィルムの形態が異なることが示され、研磨ダイヤモンド膜の低摩擦低摩耗状態のメカニズムが明らかになった。 2) 低摩擦現象の現象論的数値解析モデルの構築 1) によって明らかにされた物理的モデルに基づき、気体分子と固体壁面の形状と材質を取り込んだコンピュータシミュレーションを行った。ここでは、ナノレベルにおける低摩擦ダイヤモンド膜のミクロな時空間スケールにおけるエネルギーの伝搬現象とマクロな気体分子との相互作用によって決定されるメカニズムに基づくDSMC法(Direct Simulation Monte-CarloMethod)による数値シミュレーションにより解析を行った。DSMC法による解析の結果、研磨ダイヤモンド面と平板間の摺動においては、相対する2面間の間隙に希薄な気体が流れ込むことにより境界潤滑から流体潤滑状態に接触の状態が遷移することによって、摩擦係数が更に低く、ほとんどゼロになることが示された。実験的には2面間の相対速度が1m/s程度でこの効果が現れることが予想されたが、解析によってもその有効性が検証された。
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Research Products
(9 results)